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このシリーズを書いていたときは、ちょうど去年の今頃でした。 あの頃からもう一年。時の流れは早いものです。 と、いう訳で、金の獅子ロッタ対銀の獅子レグルスの一騎打ちが始まります 『ガリアの賑やかな日常〜金の獅子 銀の獅子 9〜』 金の鬣が宙を舞い、銀の鬣が地を走る。 まずは、ロッタが先手を取った。 空中から、レグルスの体を爪で切り裂こうと飛び掛る。 だが、レグルスもそう簡単に、自分の体にロッタを触れさせようとはしない。 逆に自分からロッタの懐に猛ダッシュで飛び込み、勢いをつけてロッタを吹き飛ばそうとする。 『喰らえ!金色!!』 咆哮と共に、レグルスの体がロッタの体に激突する。 『こんなの!後ろに避ければいいだけだろ!!』 ロッタは、ゼルギウスに言われたことを思い出す。 『いいか、ロッタ。 敵の攻撃が当たりそうになった時は、とにかく、その攻撃がくる方向と、同じ方向に、自分から動くんだ。 無理に受け止めようとすると、まともにダメージを喰らってしまう。 自分からその方向へ動けば、衝撃を大分和らげることが出来る。 忘れるなよ。』 そうしてロッタは、レグルスの体が当たると同時に、後ろへ飛びのく。 一見、レグルスがロッタを大きく吹き飛ばしたかのように見えるが、ロッタはダメージをほとんど喰らっていない。 『くっそー!!変な回避の仕方しやがって!!』 レグルスも、ロッタの回避の仕方に気がついた。 体当たりは、もう効かないと考えるべきだ。 なら、どうやって攻めるか。 (考えるのに時間を使うより、このまま攻撃を続ける!! 化身出来る時間なんて、限られてるんだから!!) レグルスは、もう何も考えず、ただロッタに爪を、牙を食い込ませようと、がむしゃらに向ってくる。 「レグルスのヤツ・・・完全に頭に血が昇っている・・・。」 そんなレグルスの姿を見て、ティガーは一人ごちた。 レグルスは、その涼やかな銀色の瞳や、丁寧な話口調から冷静な性格だと思われがちだが、実際は、かなりの熱血漢で、頭に血が昇りやすい性格である。 ティガーも、何度か訓練で戦ったことがあるのだが、レグルスは、最初は冷静に対応してくるのだが、後半になると、何も考えず、ただの力押しの戦い方になってくる。 ただ、それでも強いことには違いはない。 むしろ、いらないことを考えない分、戦い方に迷いがなくなり、攻撃に激しさが増してくる。 「このままでは、ロッタは確実にやられる・・・。」 レグルスの爪がロッタの体を裂き、ロッタの牙がレグルスの体に食い込む。 今は互角の戦いを演じているが、やはり、地力はレグルスの方が上だ。 だんだんと、ロッタの動きが鈍くなってくる。 『こいつ・・・強い!!』 ロッタがそう思ったとき、どくん!と、心臓が激しく動いた。 『化身切れ・・・何もこんな時に!!』 ロッタの化身が解けると、周りから歓声が上がった。 「化身が解けた・・・。なら、レグルスの勝ちか!?」 「いや、レグルスの方も見ろ!!」 すると、レグルスも銀の光を放ち、元の姿へと戻っている。 「レグルスも化身切れかよ・・・。 どうやって、勝敗決めんだ?」 「こうなると・・・後は・・・。」 「うおぉおおお!!!」 「どりゃぁああ!!!」 化身の解けた二人だが、迷うことなく、相手に向かい駆け出した。 そして、相手の顔に同時に拳を繰り出す! ドコォッ!! 「ぐわぁっ!?」 「いだぁっ!?」 拳と拳が顔にめり込む。 二人はそのまま取っ組み合い、互いに殴り続ける。 「てめぇー!よくもオウラさんを殺しやがって!!」 「そっちこそ!おっちゃんを馬鹿にして!!」 『絶対に!許さないからな!!』 そう言い争いながら、二人はどごどごと、殴り続けていた・・・。 「二人とも・・・何をやってるんだよ・・・。」 少し呆れながら、ティガーが言う。 ごろごろと、地面を転がりながら殴り合う二人。 「何だよ!その金髪!! 光が反射すると眩しくてクシャミが出る!!黒に染めろ!!」 「お前の銀髪を、黒にしりゃいいだろ!! 銀髪見てたら、体が寒くなってきた!!」 (まるで子供のケンカだ・・・。) ティガーはため息をついた・・・。 獅子同士の激しい戦いが、化身が解けたと同時に、一気にレベルが落ちてしまっている・・・。 (でも・・・これなら何とか私にも止められそうだ・・。) そう思ったティガーが、二人の前に進み出ようとした時、黒い影が風のように、二人の間に割って入る。 「・・・あれは・・・?」 「うんしょ・・・ティガー! ティーゲル将軍連れて来たよ!」 シオンが、人垣を掻き分け現れた。 「レグルス・・・ロッタ・・・」 突然現れた黒い影は、二人の襟首をぐっと掴み・・・ 「うん?」 「あれ?」 「いい加減・・・お止めなさーい!!!」 ぶんっと腕を振るって、二人を大きく放り投げた!! 「わぁあああ!!!???」 「でぇえええ!!!???」 二人は、それぞれ右と左に大きく飛ばされ、どすんと、音を立てて地面に叩きつけられる!! 『いってーー!!!』 声を合わせて二人は言った。 飛ばされた二人の中央に、黒いドレスを纏ったたおやかな黒虎が、優雅に佇んでいる。 「姉さん・・・やっと来てくれたんだ・・。」 ティガーが、姉の姿を見てほっと息をつく。 「ごめんね、ティガー。ちょっと遅くなってさ。」 頭の上で手を組みながら、シオンが言った。 シオンの隣には、紅い髪の獅子がいる。 「あの二人・・・かなり派手にやったみたいだな・・・。」 「スクリミル様も来てくれたのですね。」 「最初は、俺が二人を止めるつもりだったんだが、ティーゲルのヤツが、 『二人を止められなかったのは、我が弟の責任。 愚弟の不始末は、姉である私が片付けましょう。』って言って、アイツが止めることになったのだ。」 「将軍・・・かなり怒ってるみたいだったよ・・・。」 それを聞いたティガーは、いきなりガタガタと震えだした。 「ね・・・姉さんが・・・怒ってる・・・。」 ティガーが、恐る恐る姉の方を見ると・・・。 キラーン!! ティーゲルが、黒い瞳を光らせ、弟を睨みつけていた。 「ひ・・・ひぃ!?」 小さな悲鳴を上げ、思わずシオンにしがみつくティガー。 「ティ・・・ティガー・・・どうしたの?」 それは、いつも冷静なティガーの行動とは思えない。 「ね・・・姉さんは・・・怒ると怖いんだ・・・。 ロッタとレグルス・・・かなりキツイお仕置きを受けることになるぞ・・・。」 ティーゲルは、ばっと、スカートの裾を上げて太ももに手をやり、何かを掴んだ。 それが光を受け、きらりときらめく。 鉄鞭だ。 鉄鞭をびしっと天に構え、朗々とした声で、話した。 「皆のもの!静まれ!! これより、王が直々に、この者について話される!!」 「王・・・」 「王が来るのか・・・」 周りにどよめきが走る。 そして、人垣がすっと割れると、そこから悠然とした足取りで、獅子王カイネギスが現れた・・・。 |
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