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<<   作成日時 : 2008/05/07 19:53   >>

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フォルカの話が完結に近いので、今週は、サイトよりもブログの更新を、優先していきます。
病に侵された自分を助けるため、奴隷となった、フォルカの母。
母を助ける為に、フォルカはある決意をする………。

『天使を解き放つ時 12』

一年後……

 ヒュッ!

投げられたナイフが的の中央に刺さる。
「よし…。」
「フォルカ…。完治したようだな。」
「メストル。」
 鈍色の髪に青い瞳。
 三日ぐらい剃っていないだろうと思う不精ひげ。
 煙草をくわえながら、俺の治療をしてくれた闇医者が現れた。
「世話になった…。」
「これから…どうする気だ?」
「決まっている…。母さんを助ける…。」
 俺はこの一年、死に物狂いで病気の治療をし、殺しの腕に磨きをかけた。
「今の俺なら、ドレインだって殺せる。」
「ドレインを殺しても、お前の母親は自由にはなれない。」
「どういうことだ?」
「奴隷を持つことは、別に違法行為ではないんだ。れっきとした商売なんだよ。
 だから、その奴隷の持ち主を殺して自由にしても、帝国の法を犯したってとこでお前が処刑されちまう。」
「なら…どうすればいい…。」
「奴隷が合法的に自由になるには、主人が奴隷を解放奴隷にする。
 それか、奴隷が自分を買うしかない。」
「自分を買う?」
「ああ。買値の倍の金を払えば、奴隷は自由になれる。罰っせられることもない。
 だが…お前の母親は鷺だ。化身が出来ないと言っても、法外な値がついたらしい…。
 その額は…一億…。」
「い…一億だと…。」
 メストルは、情報屋としても名が知られている。
 間違った情報など、持ってこないだろう。
「つまり、お前は二億の金を貯めなければならない…。
 普通の者なら、一生かかっても、稼げない額だ。
 しかし…手段はある。」

「火消し…か…。」

 人の命を扱う商売ほど、金になるものはない。
 奴隷売買も、暗殺も。

「フォルカ。
 お前の母親が望む生き方をするというなら、今すぐここを出て行け。
 望まない生き方をするというなら、俺も協力しよう。
 どうする?」
「決まっている…。」
 その時、蛾が窓から入ってきた。
 俺は手にしたナイフを投げる。

ドスッ!!

 蛾が壁に標本のように刺さる。
「依頼を言え…。
 金さえ払えば、何でもやってやる…。」

 その日から、俺は火消しとなった。
 金を貯め、母を自由にするために。
 ドレインからの依頼も受けることがあった。
 父を殺し、母を売った男。
 顔を見るだけで吐き気がし、今すぐにでも殺してやりたい衝動にかられた。
 だが、何とか俺は自分を抑えた。
 ドレインを殺すのは、母を自由にしてからだ。
 金さえ払うのであれば、俺は悪魔からの依頼でも受けるし、女神だって殺す。
 俺は、何より母を助け出したかった。

 メストルの調べで、母を買い取った貴族の家も分かった。
 仕事で疲れ、傷つく度、俺はその屋敷の近くへ行き、風に乗り聞こえてくる母の歌を聞き、自分を奮い起こした。
 そしてその歌は、母の安否を確かめる手段にもなっていた。
 鷺の民は脆弱だ。
 いくら豪奢な貴族の屋敷でも、森の空気や、心の安息が得られなければすぐに死んでしまう。
 母の歌を聞き、俺は安堵の息をつく。

(よかった…まだ生きてる…。)

 自分を助けるために殺しをする息子を、母はどう思うだろうか。
 傷つくだろう。哀しむだろう。
 だが、俺は何としても母を助けたかった。
 母親が子供のためなら何でも出来るように、子供も母親のためなら何でも出来るのだ。
 そして、母を助ける手段は、火消ししかなかったのだ……。

 火消しを続ける毎日。
 その夜も、俺は母の安否を確かめに、貴族の屋敷へと向かった。
 しかし……

「歌が…聞こえない…」

 毎夜風に乗り聞こえていた歌が、その夜は聞こえてこなかった…。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この頃は、まだ奴隷制度が存続していたということで、お願いします。
と、なるとダラハウはいくつだ!?謎です……

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
うわあああ!リュミエルさん、死んじゃ嫌だよ〜〜!!!!
フォルカ!!!もっと頑張らんかい(酷)
愛ってときになんて悲しいんだろうと思います。
お互いを幸せにしようとして、不幸になっていくなんて。
でも、そう思うのは自分だけで、
フォルカもリュミエルさんも、決して、不幸ではなかったのかな…
それにしても、結末が近いなんて…
今回は本当に泣けましたよ。
次回以降読むのが怖いですが、…それでも、心待ちにしています。
その結末が、フォルカとリュミエルさんが本当に望む未来に、近いものでありますように。
琴里
2008/05/07 22:40
リュミエルも、息子の幸せの為に。
フォルカも、母親の幸せの為に、相手が望まない道を選んでしまった。
お互いを思いやったうえの行動が、不幸な結果をなってしまったけど、
それでも二人は、自分の選んだ道を、後悔していないでしょう。
そうしなければ、大切な人を失ってしまうことに、なったのかも知れないのですから…。

フォルカとリュミエルさん。二人に未来は……orz
ですが、かなり先の話になりますが、フォルカにもちゃんと救いと、新しい希望が、現れますので……。
リリカル
2008/05/08 21:44

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