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息子を助ける為、自分自身を金に替えたリュミエル。 そして別れの朝が、やって来た……。 『天使を解き放つ時 11』 気付いた時、俺は闇医者の診療所で眠っていた。 「フォルカ…朝よ…。」 朝の日を受け、母の金の髪がきらきらときらめく。 「母さん…。俺…どうしてこんなとこに…?」 「お前は、暫くここで療養することになった。」 闇医者のメストルが、煙草を吹かしながら、俺にそう言った。 「療養…?金もないのに?」 「大丈夫。お金なら手に入ったわ。」 母が笑いながら言う。 金が手に入った? どうやって、そんな大金を? まさか…まさか!? 俺の心に不安がよぎる。 「母さん…自分を…売ったのかい?」 何も言わず、悲しそうな笑みを浮かべ、母はこくりと頷いた。 「そんな!俺、母さんを犠牲にしてまで生きたくない!! 母さん…止めてよ…。 奴隷になんて…ならないで…。」 俺は、自分の無力さに泣いた。 父も俺を助ける為に死んだ。 そして、母まで俺を助ける為にその身を金に換えるなんて…。 自分の弱さに腹が立つ。 俺はなんて弱いんだろう。 俺は、父と母に守られるだけの存在でしかないのか? 涙を流し続ける俺を、母は優しく包み込んだ。 「フォルカ…。泣かないで…。」 そして、額と額を重ねて言った。 「私は、フォルカのお母さんなの。 子供の幸せの為なら、 何だって出来るのよ…。」 それはかつて、リュミエルがラフィエルに言われた言葉…。 (ラフィエル兄様…。 あの時の言葉の意味が、今の私にはよく分かります…。 愛する息子の幸せの為なら、私は何だって出来ます…。) 「う…母さ…ん…。母さん!母さん!!」 母の綺麗な瞳には、後悔の色も恐怖の色もない。 俺を思う慈愛の色に溢れていた。 「それじゃあフォルカ… 私はもう行くわ…。」 俺の額にキスをし、母は立ち上がる。 「メストル先生…。息子をお願いします。」 「分かった。火消しの息子さんだ。すぐによくなりますさ。」 「待って…母さん…。」 ベッドから下り、母を追いかけようとするも、 「ガハァッ!?」 黒い血を吐き、歩くこともできない。 母は、部屋から出る前にくるりと俺のほうを振り向き、にっこりと笑った。 「フォルカ……。 幸せになるのよ…。」 天使のような笑顔でそう言い、母は俺のもとから去って行った…。 「リュミエル様。息子さんとの別れは済みましたか。」 「はい…ドレイン様。」 リュミエルは、ドレインの待つ馬車へと乗り込んだ。 「ありがとうございます。お陰で、息子の命は救われました。」 夫を殺した男だ。 心からそう思っているわけではない。 だが、この男がフォルカの治療費を全額払ってくれたのも事実だ。 (フォルカ…元気で…) 走り去る馬車の窓から、リュミエルはフォルカのいる診療所をずっと見ていた。 口が自然と歌を口ずさむ。 それは、ラフィエルが妹の幸せを願い歌った歌。 今リュミエルは、息子の幸せを願い歌い続けた… |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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予想はしていたけれど… |
琴里 2008/05/06 22:05 |
琴里様 |
リリカル 2008/05/07 20:11 |
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