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help リーダーに追加 RSS 天使を解き放つ時 10

<<   作成日時 : 2008/05/04 16:51   >>

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母を守り、奴隷商人から逃げるフォルカ。
しかしその体には、限界が近づいていた……。
 
『天使を解き放つ時 10』

 血を吐いたその日から、病は俺の体を日々蝕んでいった。
 吐く血の量は徐々に増えていき、赤い血がどす黒くなっていく。
 治す手立てはないのか?
 そう思い、俺は若いながらも、裏では随一の腕を持つ、闇医者メストルの下へと向かった。

「黒血病か…。
 治らねー病気じゃないんだがな…。」
「どうすれば治るんだ。」
「簡単だ。薬を飲み続け、時間をかけ治す。
 ただ…その薬がバカ高い…。
 貴族でもほんの一握りの大貴族しか払えないっつー代物だ。」
「金が…かかる病だというのか…。」

 金のあてはあった…。
 火消しだ。
 父の残してくれた火消しの名を継ぎ、俺が火消しになれば、治療費はなんとかなるだろう。
「だがフォルカ。
 もうお前の体はぎりぎりの状態だぞ。
 普通だったらもう起きていることもままならない。
 今のお前は精神力だけで立っている状態なんだ。
 火消しなんか、やれるはずないだろう。」
 プカッと煙草をふかしながら、メストルが言う。
「…くそ…くそ!!」
 治せる病なのに、金がないから治せないなんて!

 金。金。金。

 金で命が買えるはずがないのに。
 だが、母を金で手に入れようとする者がいる。
 金がないから死ぬ者がいる。
 金が…金があれば、俺も母さんも平和に暮らせるのに…。
 俺は、何より金がほしかった。
 金で手に入らない物はない…。
  命も、平穏な生活も、金があれば手に入いる…。


 医者のもとから帰って来てすぐに、フォルカは寝込んでしまった。
 もう起きているだけで、かなりの体力を消耗してしまうのだ。
 リュミエルは、そんなフォルカの髪を撫で、歌い続けることしか出来ない自分に歯痒さを感じていた。
(フォルカ…貴方が苦しんでいるのに、私は何も出来ない…。
 私は、フォルカのお母さんなのにね…。)
 リュミエルは、フォルカの欲している物を知っている。
 それを手に入れるために自分が出来ることも…。

 その時、外から人の気配を感じた。
 窓から見てみると、人の良さそうな笑みを浮かべている男が立っている。
(フォルスを…殺した男…。)
 奴隷商人ドレインが、リュミエルを捕らえようとやってきていた。
 リュミエルの体が恐怖で震える。

「ゲホッ!ゲホッ!!」
「フォルカ!!」

 大事な息子が黒い血を吐く。
「母さん…外に…誰か来てる…。」
 フォルカは、自分の体が動かない状態でも母を守ろうとしている。
 そんなフォルカを見て、リュミエルは息子を救うために決心した。
「フォルカ…お母さんが、貴方を治してあげるわ…。」

 リュミエルは、小屋の外へと出てドレインと向かいあった。
「ドレイン様。
 お初にお目にかかります。私はセリノス王国王女、リュミエルと申します。」
 と、スカートの裾を持ち一礼をする。
「これはこれは王女殿下。ご機嫌麗しゅうございます。」
「ドレイン様にお願いいたしたいことがございます。」
「ほほぅ…。私如きに出来ることならば、何でもいたしましょう…。」
「どうか私を…買い取って下さい…。」

 リュミエルは息子を助けるため、その身を金に変えることを決めた…。

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