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戦いが終わり、ゼルギウス達に平和な日常が戻ってきた…… 『ゼルギウス将軍の一番長い日64〜それぞれの一週間 前編〜』 ガドール伯ゼルギウスの日記 2月15日 大神殿に戻る。 ルキノ殿とガトリー、ロッタの傷は意外に深く、しばらく大神殿に滞在することになった…。 「サーシャ、じっとしててね。」 「はい。お願いします」 ベットに腰を降ろしたルキノがサーシャの髪を切り始めた。 「まったく…無理矢理髪を切ったから、揃えるのが大変よ。」 「すいません…。火急の事態だったので。」 チョキチョキと軽快な音を立て、若草色の髪が床に落ちていく。 「サーシャは、これからどうするの?ガドールに戻るの?」 「いいえ。ガドールに帰っても家族はいませんし…」 「じゃあ、クリミアに来る?あなたみたいな勇気のある子がクリミアに来てくれたら、 とっても頼もしいわ。」 既に、サーシャにもエリンシアがクリミア女王だということは言ってある。 「ありがとうございます。けど私、もう行くとこ決めてるんです!!」 サーシャが青い瞳を輝かせて言った。 「そう…それは残念。 ほら、出来たわよ。」 ルキノは鏡を差し出した。 「うわー…」 サーシャは感嘆の声をあげた。鏡の中には、少年の活発さと、少女の可憐さを併せ持つ短髪の少女が写っていた。 「すごい…」 「気に入ってくれた?」 「はい!とっても素敵です!まるで私じゃないみたい!!」 「そんなに喜んでくれるなんて、うれしいわ。」 「ルキノさんも髪切ってみたらどうですか? 短い髪も似合うと思いますよ。」 ルキノは自分の髪を見た。幼い頃から伸ばし続け今は腰まで伸びている。 「短いのも憧れるけど、私は髪は切らない…。 この髪には願いが込もってるの。エリンシア様が幸せになれますようにって。 私が髪を切る時は、エリンシア様が幸せになった時。それか…」 ルキノは思う。 自分がエリンシアを残し死ぬこともあるということを…。 「私が死ぬ時。 私は、エリンシア様の幸せを願い髪を切るわ。」 2月16日 クリミア女王は、ベグニオン滞在中サナキ様やセフェラン様と国政関係のことで話し合っている。 エリンシアは大神殿の回廊を歩いていた。 すると、見覚えのあるピンク色の髪が目に入った。 「ちょっと兄さん!! 借金かさんで騎士団にいれなくなったってホント!?」 「いれなくなったというか…クビにされたんだよ…」 「同じことよ!! もう…私まで騎士団にいれなくなっちゃったじゃない…」 「大丈夫。マーシャは関係ないから。 騎士団辞める必要ないって。」 「恥ずかしくていれないのよ!!」 マカロフ、マーシャ兄妹である。 「マカロフさん、マーシャさん、お久しぶりです。」 エリンシアは二人に声をかけた。 「エリンシア様。お久しぶりです。 ちょっと待って下さいね…。この馬鹿兄に愛の鉄拳を…」 「待て!マーシャ!」 マーシャがマカロフの首を掴み殴ろうとしている。 「あの…お二人ともベグニオンの騎士団をお辞めになったとか…。」 「はい…この馬鹿兄のせいで…」 「だから、お前まで辞める必要ないんだって!」 「これからどうすんのよ!!」 「なら二人とも!」 エリンシアが両手をパチンと鳴らし言った。 「クリミア騎士団に入りませんか?」 『クリミア騎士団?』 突然のエリンシアの申し出。だが二人は、 『はい!行きます!!』 即答し、クリミア行きを決めた。 2月17日 ロッタの体調がよくなった為、一緒に外出をする。 「ロッタ…ここか…」 「うん…。ここでローザが死んだんだ…。」 そこは、人の気配をまったく感じさせない屋敷の廃墟だった。 ロッタに先導され、ゼルギウスは進んでいく。 「こっちで…ローザが眠ってる…。」 二人は静かに廃墟の庭を歩く。 庭には、花も木も何も生えていない。 生命の暖かさのない、寂しい庭だった。 だが庭の隅、ほんの一角だけ、真っ白な、小さな花が無数に咲いていた。 ロッタがそれに気付き、その場所へ急いで駆け寄る。 「何これ…。 今まで…こんな花咲いてなかったのに…。」 「ここに、ローザリアが眠っているのか?」 「うん。」 ロッタが屈んで花を見た。 「きれい…。真っ白で…ローザみたい…。」 「ロッタ…この花の名前はローザリアというんだ。彼女の魂が、この命のない場所に花を咲かせたんだろう…。」 「ローザリアの花…。」 「ロッタ…いつかこの花をテリウス中に咲かそう…。ラグズとベオク、二つの種族が笑い合う世界を夢見たローザリアの為に…。」 「うん…。オレやるよ… ローザの夢は…オレが叶えてみせる…。」 風が吹く 風が運ぶ 花の種を 夢を願いを |
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