|
ゼルギウス将軍の一番長い日エピローグ前編です。 ベグニオンから旅立った者たちの、道中風景です。 『ゼルギウス将軍の一番長い日68 最終話 捧げよ聖者に杯を!! 前編』 甘いチョコの香りが空に漂う・・・ 「エリンシア様。このチョコとっても美味しいですわ!!」 天馬の上で、ルキノが早速チョコをパクついている。 「まあ、本当。とても良い香りがしますね。 ・・・ねぇ・・・ルキノ・・・。」 エリンシアは、少し間を置いて聞いた。 「何でしょう?」 「私と神使様が目指す世界を作るには、まだまだ多くの障害があります・・・。」 「はい・・・。」 「クリミア国内だけでも、ガリアとの同盟を好ましく思わない貴族方や、隠された存在であった私に対する反発など問題だらけです。 それらが解決されるまで、何年かかるでしょうか・・・。」 俯いてエリンシアが言った。 想像するだけで気が遠くなるような果てしない道だ。 「エリンシア様・・・。 何年かけてもいいのですよ・・・。 諦めない限り、道を歩き続けることが出来ます・・・。 途中で休憩してもいいんです・・・。 一緒に歩いて行きましょう・・・。 花咲くテリウスの大地まで・・・。」 「ええ・・・。 ルキノとジョフレ、ユリシーズとなら、楽しい旅が出来そうだわ・・・。」 そう言い、ルキノに振り向き微笑みかける。 そして、口調を明るくして言った。 「ですけど、逆ハーレムは諦めましたわ。」 「何ですって!?エリンシア様!! 共に一大逆ハーレムを作ろうと誓ったあの星をお忘れになられた のですか!?」 そう。逆ハーレムは幼い頃からの二人の夢。 「ゼルギウス将軍を手に入れれなかったぐらいで諦めるなど、エリンシア様!見損ないましたわよ!!」 「違います・・・。私は、新たな夢が出来たのです・・・。」 「新たな夢?」 「はい!!それは、クリミア国営ホストクラブ建設!!」 「きゃ〜!!ホストクラブ!! エリンシア様!!素晴らしい夢ですわ!! ホストスカウトの任には、うちの弟を当たらせましょう!!」 「ルキノ!クリミアの美形は私のもの!!」 「ベグニオンの美形も私のもの!!」 『テリウスの美形は、全て私のもの!!』 「ホストクラブ建設まで!歩き続けますわよー!!」 高々とこぶしを上げ宣言するエリンシア。 「一生ついて行きマース!!」 そんなエリンシアに永遠の忠誠を誓うルキノ。 エリンシアとルキノの楽しい旅が始まった・・・。 森の中からチョコの香りが香ってくる・・・ 「ねぇ、ガトリー。ガリアってどんなトコ?」 ロッタとガトリーは、二人で仲良くチョコをつまみながら歩いていた。 「ガリアねぇ・・・。あんまいい思い出ないんすよねー。」 ガリア。傭兵団の前団長、グレイルが命を落とした国だ。 「とにかく・・・木がたくさんあって、キレイなとこっすよ。」 かなり大雑把な説明である。 だが、ロッタはその説明だけで充分ガリアへの憧れを強くできた。 「へー・・・。オレ、森大好き!! 森にいると気分すっきりするもん!!」 そしてロッタは空を見上げる。 (ローザ・・・。オレ、ガリアに行くよ・・・。 緑豊かなガリアに・・・。ローザの魂も一緒に連れて行く・・・。) ロッタは胸のポッケから紙切れを取り出した。 そこには、サーシャに作ってもらった押し花になったローザリアの花がきれいに咲いていた。 (オウラも見ていて・・・。 もう、オウラみたいな悲劇を繰り返さない・・・。 強くなって、強くなって、花を守っていくよ・・・。) 悲しいオウラは、天で探し続けた人と出会えただろうか? 出会っていてほしい・・・。ロッタはそう願った・・・。 ロッタは天にぐっとこぶしを掲げた。 (二人とも!!見ていて!!) 笑顔でロッタは天に誓う。 ラグズのロッタの笑顔は、まるで太陽のように、輝いていた・・・。 「ところでさ〜・・・。」 ゆっくりこぶしを下ろしながら、ロッタはガトリーに聞いた。 「あの二人って・・・いつもあんな感じなの・・・。」 ロッタが指さした先には・・・ 「セネリオ!!あんた、なに人のチョコまで食べてんのよ!?」 「チョコは余分な脂肪のもとです!! ティアマトさん基礎代謝落ちてきてんだから、太らないよう僕が食べてあげてるんですよ!!」 醜いチョコの奪い合いをしているティアマトとセネリオが・・・。 ガトリーはこくこくと頷き、 「うん。いつもあんな感じっす。」 「は〜・・・。ガリアまであれが続くのか・・・。」 ロッタはため息をついた。 二人の喧嘩に付き合いながら、ガリアまでの旅は続く・・・。 街道からもチョコの香りがしてくる・・・。 がらがらと走る馬車の中、ルベールは一人この一週間を思い出していた。 偉大な将軍だと思っていたゼルギウスが、実は欠点だらけの人だったということ・・・。 神使が噂で聞いた以上にイタズラ好きだったということ・・・。 セフェランは噂どうりに腹黒だったということ・・・。 「あれ〜・・・何かろくな思い出ないような・・・。」 帝国の中心人物の意外な一面が見れた一週間だった。 自分が今まで築いていたイメージがガラガラと崩れた。 正直、このまま帝国に忠誠捧げていいのかなー?とか、思った日もあった・・・。 けど・・・。 「ま・・・。楽しかったし・・・。いっか!!」 にっこり笑いチョコを食べる。 軍の生活は忙しいが笑いは少ない。 この一週間を思い出すだけで、一年間は退屈しないで済みそうだ・・・。 (来年・・・楽しみだな・・・。) 来年はどんなバレンタインになるだろうか・・・。 それを想像するだけで、ルベールの顔には笑顔があふれていた・・・。 彼はまだ知らない。来年の今頃、大陸が未曾有の戦乱の真っ只中だということを・・・。 帝都の街でも、チョコの香りを楽しんでいる者がいた・・・ 「お!火傷の兄ちゃん!! 今日は買ってかないかい?」 チョコ菓子を売っている露天商が左顔に火傷がある男に聞いた。 「買う買う!! これからデイン行くからさー、しばらく甘いもん食えないんだよねー。 ちょっと買いだめしてもいい?」 男は早速品定めをしている。 「買ってけ、買ってけ!! 兄ちゃんがこないと寂しくなるねー。 あんたがいると、子供が寄ってきてくれるんだよ。」 そう言ってる内に、男のほうに二人ほどの子供がやってきた。 「ヴェイラ兄ちゃん!!ナイフ芸見せて!!」 「りんご落とすやつやって!!」 「わりぃ。今日はそんな時間ねーんだわ。」 と、ヴェイラは子供たちの頭をなでながら言った。 「えー!つまんない!!」 「ヴェイラどっか行くの?」 「ちょっとデインまで。しばらくは帰ってこない。」 「デイン!?随分遠いとこまで行くんだね。」 「オレは行きたかないんだけどね・・・。 相方が行くって言って聞かなくてさ。」 子供たちは元気に言った。 「いってらっしゃい!!」 「気をつけてね!!」 「はいはい。いってきます。 土産買ってくるから、父ちゃんと母ちゃんの言うこと聞けよー!!」 『はーい!』 しばらく歩くと、紫色の長い髪をした美しい男がヴェイラを待っていた。 「アシュラム。待たせた!!」 「拷問官・・・。君は結構子供好きなんだね・・・。」 「好きっつーか・・・懐かれるんだよ。 まぁ、ガキ泣かすのは好きだけどな。」 ヴェイラは年のわりには可愛い顔をしている。 猫のようなふわふわした髪の毛。減らない口数。 それらが子供に気に入られるのだろう。 「まぁいい。早くデインに行くぞ。 イズカ先生が待っている。」 「あいよ。」 二人はシエネの城門を出て、デインへと出発した。 (ゼルギウス・・・待ってろよ・・・。 オレはあんたのこと、まだ諦めちゃいないからな・・・。) そして灰猫は、ベグニオンを後にした……。 |
| << 前記事(2008/03/11) | トップへ | 後記事(2008/03/12)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/03/11) | トップへ | 後記事(2008/03/12)>> |