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help リーダーに追加 RSS ゼルギウス将軍の一番長い日55

<<   作成日時 : 2008/02/06 21:36   >>

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炎の中にサナキはいる・・・・・。
サナキを助け出すために、ゼルギウスが燃え盛る炎の中へと飛び込む!!

『ゼルギウス将軍の一番長い日55 英雄群舞 第21幕 〜炎の中のアリア 前編〜』

 燃え盛る屋敷の中にサナキがいる・・・。

「さ・・・サナキ様!!」
 セフェランが混乱し屋敷の中に飛び込もうとする。
「セフェラン様!落ち着いて下さい!!」
「ルベール!離しなさい!!
 サナキ様が!サナキ様が!!」
 ルベールがセフェランの腕を掴みとめる。
「神使様は私が連れてきますから!」
 そう言うルベール。
「ぼ・・僕も行きます!!
 これは神使様から目を離した僕の責任です!!」
 セネリオが言った。
 だが、その二人を止める者がいた。
「二人とも・・・その役目は譲れないな・・・。」
 ゼルギウスである。
「ですが、将軍はまだ完全に体力が戻った訳では・・。」
 ルベールがゼルギウスを止めようとする。
「お前達じゃサナキ様を外まで連れてこれないさ。
 サナキ様は、私を探しに中に入っていったのだろ?
 なら、私を見つけるまで中から出てはこない。
 あの方は、自分がこうと決めたら絶対やり遂げる方だ。
 ダダをこねるサナキ様を、宥める自信はあるか?」
「・・・ありません・・・。」
「なら・・・行かせてくれ・・・。
 ロッタ!井戸はどこにある!!」
「こっちだよ!!」
 ロッタと共に井戸に向かう。
 全身に水をかける。
「エリンシア様。マントを貸して頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ。」
 エリンシアからマントを受け取ると、それにも水をたっぷりかけた。
「よし・・・。ではセフェラン様、いってまいります。」
 と、セフェランに一礼した。
「ゼルギウス・・・サナキ様のこと・・・頼みましたよ・・・。」
「は!お任せ下さい。」
 そうして、ゼルギウスは炎の中へと飛び込んで行った。

「神使!起きろ!!」
 ヴェイラはまだ叫びつづけていた。
「起き・・・がはっぁ!?」
 口から血が飛び出した。
(やべ・・・肋骨肺に刺さりやがった・・・。)
 逆に今まで刺さらなかったのが不思議なぐらいだ。
「おき・・ろ・・・」
(上手く声が出ねぇ・・・。)
 もう掠れた声しか出ない。
(何とかしねぇと・・・。)
 ヴェイラは自分の体を探った。
 手が靴の踵に伸びる。
(よっしゃ・・・。まだあったか・・・。)
 そこには一本の隠しナイフ。
(死ぬよかマシだろ・・・。)
 それを最後の力を振り絞りサナキの肩へと投げつける。
「きゃぁあ!?」
 斬られた痛みでサナキが目を覚ます。
 あたりを見回すと、そこはもう火の海だ。
「こ・・・これは一体・・・。」
 階下には、先ほど自分に戦う意思を取り戻させた男がいた。
 急いでその男に駆け寄る。
「お主!大丈夫か!!」
「バカ。オレのどこ見て・・・大丈夫なんて言えんだよ・・・。」
 息を絶え絶えにさせヴェイラが言う。
「オレはいいからさっさと逃げろ。」
「しかし・・・。」
 サナキはヴェイラを置いて逃げることを躊躇った。
「いいから!!お前が死ぬと泣くやつがいるんだよ!!
 オレはそいつに泣いて欲しくないの!!
 お前に生きて欲しいんじゃなくて、そいつに泣いて欲しくないからお前を助けたんだ!!
 だから逃げろ!!」
 血を吐きながら強い口調で言うヴェイラ。
 その言葉には鬼気迫るものがあった。

「とっとと逃げろ!!」
「・・・・分かった・・・。」

 この気迫には逆らえない。
 サナキはヴェイラの言葉に従うことにした。
 火勢の弱い通路を探し、そこへ向かって行く。
 ホールから出る時、少し足を止めヴェイラの方を見た。
「何止まってやがる!!さっさと行け!!」
 サナキの視線に気づいたヴェイラが怒鳴る。

「・・・ありがとう・・・。」

 そう一言呟き、サナキはダンスホールを後にした。

(ありがとう・・・ね・・・。)
 ヴェイラの耳には、サナキが残した言葉がしっかりと聞こえていた。
 そんな言葉を聞くのは何年ぶりだろう・・・。
 拷問官である自分が人を助けるなんて・・・。

『あんたは人を変える力を持ってる!!』

 ヴェイラは自分がゼルギウスに言った言葉を思い出した。
(オレも・・・変えられたのかな・・・。)
 その時、太く逞しい声が炎の中から響いてきた。
「サナキさまー!!どこですかー!!」
(兄さんの声!?あちゃ〜・・・入れ違いか・・・)
 ドジったな・・・。ヴェイラは思った。
 ゼルギウスがホールにやって来た。
 ヴェイラがいるのに気づいていないようだ。
 きょろきょろとホールを見回し、サナキがいないことを確認するとそこから離れようとする。
 だが、ゼルギウスが行こうとしたのは、サナキが進んだのとは別の通路であった。
 ヴェイラが慌ててゼルギウスを呼び止めた。
「兄さん!待てよ!そっちじゃねぇ!!」
 ゼルギウスがその声に気づいた。
「ヴェイラ・・・生きていたのか!!」
 少しだけ嬉しそうな声をでヴェイラに話しかける。
「おい・・・。自分が殺しかけた相手に何嬉しそうに話かけてんだよ・・・。」
「ああ・・・。それもそうだな・・・。」
「それより、あんたの想い人はそっちの道じゃねぇ。
 あっちだ。」
 と、ヴェイラはサナキの向かった通路を指さした。
「すまねぇ・・・。さっきまでここにいたんだけどよ・・。」
「いや・・・。サナキ様は私が必ず見つける・・・。」
「そうか・・・頑張れよ・・・。」
「お前も早く外へ逃げるといい。
 その火傷・・・かなり深手なようだが、私の主人は魔道の大家、ペルシス公だ。
 完治・・・までとはいかないが、目立たない程度には治るだろう。」
 だが、ヴェイラはそれを一笑し拒絶した。
「へっ・・・。
 どうせここで逃げてもオレは処刑台行きだ。
 自分のやってきたことは、自分がよく知ってら・・・。
 ここで逃げても死、ここに留まっても死。
 なら・・・オレの死にたい死に方で死なせてくれ・・・。」
「ヴェイラ・・・。」
「オレは人を傷つけた・・・。いつか、その罪を償わなきゃいけない時がくるってのは、
とっくの昔に分かってるよ・・・。
 オレはロクな死に方はしねぇ・・・。
 オレが殺してきたやつらみたいに苦しんで死ぬ・・・。
 処刑台の上で死ぬなんて綺麗な死に方は・・・したくねぇ・・。
 これは、今までやりたいことをやってきたオレには最高の死に場所だ・・・。」

 ヴェイラの意思は固かった。
 ここが自分の死に場所だ。
 そう決め付けていた。

「火あぶりって・・・帝国じゃ最も罪の重い者にする処刑方法なんだろ。
 なら・・・丁度いいじゃねぇか。」
「本当に・・・それでいいのか・・・。」
 ゼルギウスは聞いた。
 本当は強がっているだけではないのか?
 そう思ったからだ。
「ああ!火あぶり上等!!
 生きながら焼かれるっての、いっぺん体験してみたかったんだよね〜!!」
 子供のような笑みを浮かべてヴェイラは言った。
 もう死ぬ覚悟は出来ているのだろう。
 ならば、最期の瞬間まで自分らしく。
 それがヴェイラの美学。
「ほら!早く愛しいあの子を探しに行きなよ!!
 早く見つけねぇと、他の男に盗られんぞ。」
 ゼルギウスは立ち上がった。
「それは困る!!
 私にはサナキ様以上に愛しい方はいないからな!!」
「そうそう!さっさと行きな!!」
 サナキの向かった通路へと走るゼルギウス。 
 その背中にヴェイラは叫んだ。
「オレはあの世であんたをいじめる方法じっくり考えてっから、ゆっくりこいよー!!」

 その言葉を背中に聞き、ダンスホールを出た瞬間、ダンスホールの天井がガラガラと
崩れ落ちてきた。
「ヴェイラ!!」
 ゼルギウスが振り返る。
 だが、再びサナキのもとへと走り始めた。
(また会おう・・・ヴェイラ・・・。
 お前のいるところに・・・私も必ず行くから・・・。)
 英雄と拷問官。水と油のように相反する二人。
 しかし、二人の間には奇妙な友情のようなものが確かに存在していた・・・。

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