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help リーダーに追加 RSS ゼルギウス将軍の一番長い日54

<<   作成日時 : 2008/02/04 22:12   >>

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炎対炎の戦い。決着のとき。
ゼルギウスが奴隷だと言われたサナキは、一体どうするのか・・・・。

『ゼルギウス将軍の一番長い日54 英雄群舞 第20幕 〜炎のロンド 後編〜』

 奴隷・・・。
 セフェランが・・・シグルーンが・・・ゼルギウスが・・・。

「私の・・・奴隷・・・。」
 その言葉を聞き、サナキは顔を青くさせている。
「な・・・ば・・バカなことを言うな!!
 皆奴隷などではない!!大事な・・・大事な家族じゃ!!
 私は、みんなのことが大好きじゃ!!
 奴隷なんかじゃ・・・奴隷なんかじゃない!!」
 頭をふり必死に否定する。
「そうなのですか?私には奴隷にしか見えませんね。
 ゼルギウス将軍。彼など奴隷そのものではないですか。
 貴女の命で戦場に赴き、命を懸けて戦い、傷が治ったと思ったら再び戦場に行かせる。
 戦え、戦え、戦えと命じ、彼の命を戦いの為だけに使わせている。
 これが奴隷でなく何と言いましょう?」
「違う・・・違う・・・ゼルギウスは・・・。」
 火球が少しづつサナキのほうに向かって行く。
(やはり、いくら大人びていても子供は子供・・・。
 精神面は、鍛えられていませんね・・・。)
 ドレインはその隙を逃さずさらに攻める。
「彼を傷つけ、彼を戦わせているのはどなたです?
 貴女でしょう。
 気づいていないだけなのですよ。
 自分が忠義の名で縛られている奴隷だということに。
 なんと哀れなゼルギウス将軍でしょう。
 気づかぬうちに奴隷となり死んでいく・・・。」
「哀れ・・・ゼルギウスが・・・。」
 以前、戦場に赴いたゼルギウスに会いに行ったときがある。
『心配なさらないで下さい。』
 と、顔は笑っていたが少し疲れたような感があったのを覚えている。
「私が・・・私が戦えと・・・命じたから・・・。」
 だからゼルギウスにあのような顔をさせたのか。
 サナキの手から力が失われていく。
「いつか、あなたの命でゼルギウス将軍は死にましょう・・。」
「!?ゼ・・・ゼルギウスが死ぬ!?」
 あの強いゼルギウスが!?
「私が・・・私の存在が・・・あやつを殺す・・・。」

 戦場で倒れるゼルギウス。
 私が戦えと命じたから。 
 私がいなければ・・・私がいなければ死ななかったのに・・・。

 サナキの瞳から戦う意思が消えていく。
「神使様・・・。ゼルギウス将軍を解放して差し上げましょう・・・。」
 ドレインのその言葉は、まるで聖者の言葉のように優しく、慈愛に満ちていた。
「ゼルギウスを・・・解放する・・・。」
 ゼルギウスを救いたい・・・。
 そんな思いがサナキの心を支配した。
 サナキの手がゆっくりと降りていく・・・。

 その時。

「てめぇ!!ふざけんな!!」

 優美なダンスホールには不釣合いな怒鳴り声が響いた。
 ドレインが振り返り声の主を見る。
「ヴェ・・・ヴェイラさん・・・。」
 ヴェイラが怒りの表情でサナキを睨んでいる。
「思い上がってんじゃねーぞ!この餓鬼!!
 あの兄さんが奴隷だぁ?ふざけんじゃねぇ!!」
「お主・・・一体・・・。」
 怒鳴られたサナキがきょとんとした表情でヴェイラを見る。
「兄さんは・・・ゼルギウスはな・・・。
 半獣のガキ助ける為に自分から鎖に縛られるようなやつなんだよ!!
 自分の領民のガキを心配させないようにって、傷付けられても笑ってるようなやつなんだよ!!」

 ヴェイラの言葉を聞き、サナキの瞳に、少しづつ輝きが戻っていく。
(そうじゃ・・・。ゼルギウスはそんな男じゃ・・。)

「・・・オレを・・・孤独から救う為に戦ってくれるようなやつなんだよ・・・。
 アイツは・・・誰かの為に生きてるんだ・・・。
 てめぇの為だけに生きてんじゃねぇ!!
 奴隷が主人以外のやつの命助けようとするか!!
 ゼルギウスはお前の奴隷なんかじゃねぇ!!」

 ヴェイラの言葉は、サナキに戦う意思を取り戻させた。
「そうじゃ・・・。ゼルギウスは・・・奴隷なんかじゃない!!
 あやつには自分の意思がある!!
 私が間違っていたら叱るし、言いなりになんかならない!!
 ゼルギウスは・・・ゼルギウスじゃ!!」
 再び火球はドレインにへと向かっていく。
「くっ・・・!?」
 ヴェイラが言葉を続けた。
「それにな!あの兄さんは忠義でお前のとこにいる訳じゃ・・・」
「黙りなさい!ヴェイラさん!!」
 ドレインがヴェイラに向かい指をパチンと鳴らした。
 その瞬間、ヴェイラの左顔面が炎に包まれる。
「ぐわゎああああ!!??」
 炎の熱さに悲鳴を上げるヴェイラ。
 手で炎をかき消す。
「お主!?大丈夫か!!」
 サナキが焦って聞く。
「くそ・・・くそ・・・。」
 ぼたぼたと血を流し唸っている。
 もう、サナキのことを考えている余裕はなさそうだ。
「神使様。人の心配より、ご自分の心配をなさったらどうですか!」
 ドレインは更に魔力の集中を始めた。
 溢れ出た魔力が魔方陣を形成する。
 そのあまりにも強大な魔力に、一時は持ち直したサナキも再び押されていく。
「く・・このままでは・・・。」
 必死に魔力を手に集め押し返そうとするが、火球が少しづつサナキのほうへと迫ってくる。

 その様子を、火傷を負った左顔をおさえながらヴェイラは見ていた。
(ドレイン・・・そのガキを殺す気か・・・。)
 痛みと、それ以上の怒りで体が震える。
「殺させるか・・・殺させるかよ・・・。
 兄さんは・・・神使が好きなんだよ・・・。」
 ヴェイラは両足を大きく前後に開いた。
「好きな子が死んだら・・・あいつ泣くじゃねぇか・・・。」
 左手を体の前につき出し、ニュクスを握った右手を肩を上に構える。
「ふざけるなよ・・・ふざけるなよ・・・。」
 ふらふらと動く左手をドレインの背中に定める。
「あの兄さんを泣かすのは・・・オレなんだよーー!!!!」
 そう叫ぶと同時に、ヴェイラはニュクスをドレインの背中めがけて
力の限り投げつけた!!

 ドス!

 鈍い音がドレインの背中から聞こえた。
 何が起こったのかとドレインは背中を見る。
 そこには、美しい銀の装飾の剣が突き刺さっていた。
 火傷を負ったヴェイラがシニカルな笑みを浮かべている。
「地獄に落ちな・・・。」
 親指を下に向け一言呟く。
「ぐぅはっ!?」
 ドレインの口から血が噴出す。
 魔力の均衡が破られた!!
 火球がドレインに向かい飛んでいく!!

 ズガァアアアン!!

「きゃぁあああ!?」
「うわぁあああ!?」

 轟音と共に火球は大爆発を起こした!!
 サナキとヴェイラは、壁に勢いよく叩きつけられる。
 今まで抑えられていた火精が、その鬱憤を晴らすかのように活動を始めた。
 火精は屋敷中に飛び散り、手当たり次第にあらゆる物を焼き払っていく。
 屋敷はあっという間に火の海となった。

「神使!起きろ!!起きろ!!」

 ヴェイラが必死に呼びかける。
 もうサナキのところまで歩いていく力がない。
「くそ・・・これじゃ神使死ぬぞ・・・。」
 これでは結局ゼルギウスは泣くことになる。
「ゼルギウス・・・早く来やがれ!!
 お前を泣かすのは、オレなんだよ!!」

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