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サナキを庇い、重傷を負ったゼルギウス。 そんな彼が、夢の中で見たものは……。 『ゼルギウス将軍の一番長い日61 英雄群舞 第27幕 〜キルシュの香る夢の中〜』 白いキルシュの花が舞う春の日の午後。ゼルギウスはある屋敷を訪れた。 「こんにちは。」 ドアを軽くノックする。 「いらっしゃい。ゼル君。」 青い髪の女性がゼルギウスを優しく出迎える。 「エルナ様。お邪魔いたします。」 彼の尊敬する上官、ガウェインの婚約者、エルナである。 「よく来たな!ゼルギウス!!」 エルナの後ろから、茶色の髪をした逞しい男性が現れた。 「本日はお招きにあずかり、光栄にございます。 ガウェイン将軍。」 ゼルギウスが一礼した。 今日はガウェインとなエルナが、婚約を交わした日なのだ。 「堅苦しい挨拶などいい。早く中に入れ!」 「はい、将軍。」 ゼルギウスが土産に持ってきたワインを開け、乾杯をする。 三人は、テーブルを囲み談笑を始めた。テーブルの上にはエルナの手料理が並んでいる。 「まだ沢山あるから、いっぱい食べてね。」 「ありがとうございます。エルナ様。」 「どうだ、エルナの手料理の味は。」 「とても美味しいですよ。」 「そうだろ!エルナの料理は世界一だ!!」 いきなり惚気るガウェイン。 「やだわ。ガウェイン様ったら…。」 照れつつも、まんざらでもない様子のエルナ。 (相変わらず、仲のよろしいお二人だ。) ゼルギウスはこの幸せそうな二人の姿を見るのが好きだった。 結婚など、自分には遠い話だ。 印付きである自分が誰かと結婚するなど考えられない。 そう思っていた。 (けど…今は…) 「ところで、ゼルギウスはまだ結婚せんのか。 もういい年だろ。」 ガウェインが結婚の話をふってきた。 「いえ…まだそんな気は…。」 「そうか。だが好きな相手ぐらいはおるだろ。」 好きな相手…。 その言葉を聞きゼルギウスは金の瞳を思い出す。 「はい…いますよ…。」 「ほう…どんな女性だ」 ゼルギウスはその少女のことを思い出した。 「…小さいけれど、大きな方です。 その小さな体で頑張って…いつか大陸中に花を咲かそうと夢見ている。 私は…その方を守る添え木になりたいのです。」 「ゼル君は、その人のどんな所が好きなの?」 ゼルギウスは少し困ったように頭を掻き言った。 「それが分かれば苦労しませんよ…。 何か知らないけど、その人のことが好きで好きで堪らないんです。 一緒にいるだけで心が…魂が満たされていく…。 理由も理屈もない。ただ…大好きなんです。」 ガウェインは、そんなゼルギウスの言葉を満足げに聞いていた。 「もしかしたら、その人がお前の魂の片割れかも知れんな…。」 「離れていても、魂は互いに求め合っている…。 私とガウェインのように…。」 「その人に、ちゃんと想いは伝えたか?」 「…まだです…。」 「まあ、大変!なら、早く行かなきゃ。」 「しかし勇気が…。」 「その人が、お前の魂な片割れなんだろ…。」 「…そうあって欲しいと…願っています…。」 真摯な瞳で、ゼルギウスが言う。 「なら行け。」 ガウェインが扉を開ける。外には真っ白なキルシュの花が舞っていた。 「いってらっしゃい…ゼル君…。貴方のキルシュの元へ…。」 エルナが微笑む。 キルシュ。私の大切な花…。 ひらひらと舞う…小さな小さなキルシュ…。 「はい…。行ってまいります…。」 ガウェインとエルナに見送られ、ゼルギウスはキルシュの元へ向かう。 春の空に舞う花の名を持つ少女、サナキ=キルシュ=オルティナの元へ…。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ここでも出ました!キルシュ=さくらんぼ、です。 |
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