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help リーダーに追加 RSS ゼルギウス将軍の一番長い日60

<<   作成日時 : 2008/02/20 23:08   >>

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やっと、燃える屋敷から脱出したサナキとゼルギウス。
だが、ゼルギウスの身には大きな異変が起きていた・・・・・。

『ゼルギウス将軍の一番長い日60 英雄群舞 第26幕 〜軍神の血、少女の涙〜』

 ゆっくりと、炎の中から歩いてくるサナキとゼルギウス。

「サナキ様!!」
 セフェランが慌ててサナキに駆け寄る。
「セフェラン!!」
 サナキもセフェランのもとへと急いだ。
 そしてサナキがセフェランの前へきた時、

 パチン!

 乾いた音が響いた。
 セフェランがサナキの頬を叩いたのだ。
「セフェラン・・・?」
 サナキが目を丸くしてセフェランを見ている。
「サナキ様・・・どうして・・・どうしてこんな危険なことをされたのですか・・・。」
「私は・・・ゼルギウスが心配で!!」
「バカなことを言っているのではありません!!」
 普段の優しいセフェランからは考えられないような強い口調でサナキを叱る。
「いいですか。私やゼルギウス、シグルーンは、あなたの身をお守りする為なら、
どのようなことも致しましょう・・・。
 けれど・・・けれど!!
 自ら死地へと赴くような愚か者を守れるほど、我らは万能ではないのですよ!!」
 涙ながらにセフェランは言った。
「よいですか・・・。あなたの命は、あなただけのものではないのです・・・。
 帝国に住む全ての者の命を、サナキ様は背負っているのですよ・・・。
 帝国の長として、ご自分の命を無駄にするようなことは・・・もうなさらないで下さい・・・。」

 そしてセフェランは、サナキを抱きしめた。
「サナキ様・・・よかった・・・無事で・・・無事でよかった・・・。」
 皇帝ではなく、神使でもなく、サナキが無事に帰ってきたくれたことが、セフェランには何よりも喜ばしいことであった。
 サナキにも、セフェランのそんな親心がしっかりと伝わっていた。
「ごめん・・・。セフェラン・・・ごめんなさい・・・。
 う・・・ぅえ・・・うっ・・・。」
 セフェランに抱きつき、サナキは泣きはじめた。
 無事に帰ってこれた安堵と、親を心配させてしまったという反省の涙だ。

「もう・・・心配かけるようなことはせぬ・・・。
 ごめん・・・ごめん・・・。」
「サナキ様・・・謝るべき相手は・・・私ではありませんよ・・・。」
「セフェランでは・・・ない?」
 では誰なのだろう。
「ゼルギウスです。
 彼は、サナキ様の為に炎の中に飛び込み、無事にサナキ様を私のもとへと
帰してくれました。
 ゼルギウスに謝罪を・・・。そして感謝を・・・。」

 そうだった。

 自分を助ける為に、危険を冒して炎の中まで来てくれたゼルギウス。
 彼が来てくれなかったら、自分はもう死んでいた。
 サナキはゼルギウスを見た。
 大地に剣を刺し、月の光の中、軍神のように立っている。
「ゼルギウス・・・ごめん・・・。」
 そう謝罪の言葉を述べたとき、サナキは世界の全てがゆっくりになったような感覚に陥った。
 軍神の体がゆっくりと、ゆっくりと大地に落ちていく。

「ゼルギウス・・・?」

 バタン・・・

 目の前の光景が信じられない。
 軍神が・・・・ゼルギウスが、倒れている。
 その逞しい背中から、真っ赤な血をどくどくと流しながら・・・。
 背中には大きな木片が刺さっている。

(あ・・・あの時!!)

 ゼルギウスが崩れる天井からサナキを助けたときに刺さったのだ。
 よく見ると、歩いてきた道には血のあとがしっかりとついている。

『振り向くな!!』

 そう怒鳴ったゼルギウスを思い出す。
「わ・・・私に気づかせぬように・・・。」
 ゼルギウスがこんな深手を負っていたなど、まったく気づかなかった。
 気づかせぬように笑い、自分を炎から・・・・恐怖から守ってくれていた・・・。

「ゼ・・・ゼルギウス!!」
 サナキがゼルギウスに駆け寄る。
「セフェラン!エリンシア!!早くライブを!!
 ゼルギウスを助けてくれ!!」
「はい!」
「ゼルギウス!しっかりなさい!!」
 二人がライブをかけはじめる。
「ゼルギウス!!」
 サナキがゼルギウスの体を起こす。
「バカ!死ぬな!死ぬな!!」
 涙を流しながら、必死にゼルギウスに呼びかける。

「花を守るんじゃろ・・・。
 まだ・・・芽はでたばかりなのじゃぞ・・・。」
 ゼルギウスの頬にサナキの涙がぽたぽたと落ちる。
「バカ・・・死んだら・・・承知せんぞ・・・。
 ゼルギウス・・・死んじゃ・・・死んじゃ・・イヤーーーーー!!」
 少女の悲しい叫びが、雲ひとつない月夜に木霊する。


 あれ・・・。何か力が入らない・・・。
 雨かな・・・。ほっぺになんか落ちてきた・・・。
 違う・・・。これ・・・サナキ様の涙だ・・・。
 やだなぁ・・・サナキ様。泣かないで下さいよ。
 サナキ様を泣かすと、私がセフェラン様やシグルーン殿に泣かされるんですよ・・・。
 それに・・・私も悲しいです・・・。
 そんなに泣かないで下さいよ。
 ほら・・・もう泣かないで・・・。

 ゼルギウスの手がサナキの瞳にのび、こぼれる涙をすくう・・・。
「サナキ・・・さま・・・。」
「ゼルギウス!!」
 サナキはその手を握ろうとした。
 だが、ゼルギウスの手に触れる前に、その手がすっと下へと落ちた・・・。
「やだ・・・ゼルギウス!!死んだらやだ!!
 ゼルギウス!ゼルギウスーーーーーーー!!」


 サナキ様が呼んでる・・・。
 早く行かなきゃ・・・。
 早く・・・行か・・な・・・

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