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help リーダーに追加 RSS ゼルギウス将軍の一番長い日45

<<   作成日時 : 2008/01/16 21:12   >>

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ゼルギウスとヴェイラの戦いのさなか、外でも新たな戦いが始まっていた・・・。

『ゼルギウス将軍の一番長い日45 英雄群舞 第11幕 〜英雄たちのカノン〜』

「グルォオオ!!」

 獣の咆哮は、ティアマト達の耳にも届いていた。
「獣牙族がいるの!?しかもこの声、獅子じゃない!」
「きっとサーシャが言っていた、なりそこないです!」
「残党は私が見張ってる!
 セネリオは神使様とルキノの応援に行って!!」
「はい。神使様、行きますよ。」
 と、セネリオはサナキを待たせておいた場所を見た。
 そこを見た時、滅多に変わらないセネリオの表情が変わった。
「ティ・・・ティアマトさん・・・大変です・・・。」
「どうしたの?早く行きなさい!」
「神使様が・・・いません・・・」
 それを聞き、ティアマトの顔も青くなった。
「まさか・・・屋敷の中に!?」
「僕が・・・目を離したから・・・。」
 セネリオは、サナキの行動をちゃんと見ていなかったことを後悔した。
 あんなにゼルギウスを心配していたサナキが、一人でじっと待っているはずがない。

「ガァアアア!!」

 獣の声はまだ聞こえてくる。
 ティアマトは考えた。

 どうする?

 屋敷は迷路のように入り組んでいる。
 へたに探しに行っても自分が迷うだけだ。
 ルキノ達は獣牙族最強の獅子と戦っている。
 魔法の援護がないと倒すのは難しいだろう。

 どうする?どうする?

「・・・セネリオ。ルキノたちの援護に行って!」
「けど、神使様はどうするんです!」
「見たところ、屋敷の中の傭兵はセフェラン様達があらかた片付けたみたいだわ。
 当面の危険はないだろうし、何より中にはセフェラン様やゼルギウス将軍がいるのよ。
 獅子と戦うよりかは安全だわ。
 あの人たちが神使様を見つけるかも知れない。
 現状での危険性は、ルキノ達のほうが高いの。
 危険の大きい味方の方に応援に行くのは当然のことでしょ!」
 それは、傭兵としての考えだった。
 戦場で助けなければならないのは、身分の高い者より、危機に陥っている者だ。
「そうですね・・・。分かりました!
 ティアマトさん、ここはお願いします!」
 セネリオは、ルキノ達の応援に向かった。
 その背中を見送り、ティアマトは祈った。
(セネリオ・・・早く終わらせるのよ・・・。
 神使様だって危険なんだから・・・。)
 ルキノ達に比べると危険が少ないとは言え、サナキも危険だという事に変わりない。
 早く探さなければどうなるか分からない。
 出来れば探しに行きたかった。
 だが、ここを離れるわけにもいかない。
 傭兵がまた一人ここから逃げようとやってきた。
(まったく・・・体が二つ欲しい気分よ・・・。)
 ティアマトは、はがゆい思いで斧を振るった。

「グルォオオ!!」
「何じゃ・・・この声は?」
 セネリオの目を盗み屋敷の中に入り込んだサナキの耳にも、獅子の咆哮は聞こえてきた。
 一瞬足が止まるが、再び走り始めた。
 屋敷の中は静かで、誰もサナキの前に現れることはなかった。
 ところどころ目印のように、戦い傷ついた傭兵の死体が転がっている。

(・・・怖い・・・。)

 このような死体を見るのは、まだ幼いサナキには恐ろしいことだった。
 だが、恐怖を抑え走り続ける。
 ゼルギウスを見つける為に。
 セフェラン達に任せたほうが安全だとは分かっている。
 しかし、体がじっとしていてくれなかった。
 ゼルギウスのことが心配で、どうしても自分で探しに行きたかった。

「ゼルギウスー!絶対見つけてやるからのー!
 だから、泣かずに待っておるのじゃぞー!!」

 サナキは叫んだ。
 寂しがり屋のゼルギウスの耳に届くように・・・。

「オウラ・・・オウラー!!」
 ロッタが化身したオウラに呼びかける。
「オウラ!化身を解いて!
 オレたちは味方だよ。」
「ロッタ・・・。もう駄目なのよ・・・。」
 ルキノが心苦しそうに言う。
「あれは『なりそこない』・・・。
 もう化身を解くことができない、歪んだ存在・・・。
 彼にはもう・・・死を持ってでしか救うことは出来ない・・・。」
「そんな・・・そんな!!
 ルキノねぇ・・・オレ出来ないよ・・・。」
 生まれて初めて出会った同族を殺さなければならない。
 ロッタには辛すぎることだ。
 涙を流してオウラを見ている。
「ええ・・。分かってるわ・・・。
 サーシャと一緒に待ってて・・・。
 彼は、私とガトリーが救ってあげる・・・。
 ガトリー、行くわよ!!」
「はい!」
 ルキノとガトリーがオウラへ挑んでいく。
 それを、ロッタは泣きながら見ていることしか出来なかった。
「オウラ・・・ごめん・・・。ごめん・・・。」
 
 幼き獅子の泣き声は、もう一つの獅子の声にかき消され、誰にも聞こえることはなかった・・・。

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