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help リーダーに追加 RSS ゼルギウス将軍の一番長い日44

<<   作成日時 : 2008/01/15 21:19   >>

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ゼルギウス対ヴェイラ。遂に決着です。

『ゼルギウス将軍の一番長い日44 英雄群舞 第10幕 〜観客なき剣劇 後編〜』

 ヴェイラの動きは素早く俊敏であった。
 なかなか剣で捉えることが出来ない。
(仕方ない・・・・。
 かなり痛いが、この方法でいくか・・・。)
 ゼルギウスは一瞬足の動きを遅くした。
 それが策だとばれないように。
 観察力のいいヴェイラなら見逃さないはずだ。

(よし!動きが止まった!!)
 月が雲に隠され完全な闇が生まれる。
 ヴェイラは、ゼルギウスの喉へニュクスを突き出した。
 ぐさりと肉を貫く感覚が剣を通して伝わってくる。

(これで・・・これであんたはオレのもんだ・・・。
 あんたを殺してオレも死ぬ・・・。
 そうすれば・・・もう一人じゃない・・・。)

 同じ血を持つ者と死ぬ。
 それは、ヴェイラにとってとても甘美な死に方であった。
 雲が切れ、月明かりがゼルギウスを照らす。
 血にまみれた英雄の姿はどれだけ美しいだろう・・・。
 ヴェイラは恍惚の表情でゼルギウスを見つめた。
 だが次の瞬間、その表情は絶望へと変わった。
「なっ・・・!?」
「やはり・・・かなり痛いな・・・。
 腕を貫かれるというものは・・・。」
 ゼルギウスはその左腕を盾とし、ヴェイラの剣が喉を貫くのを防いでいたのだ。
「お前の攻撃はあまりにも正確すぎるんだ・・・。
 急所を確実に狙ってくる。
 私を殺すには心臓か喉を狙ってくるだろう。
 予測するのは簡単だ。」
「だからって、ふつー左腕犠牲にすっか?」
「こうでもしないと・・・お前の動きを止められんだろ!!」
「やばい!?」
 ヴェイラが慌てて剣を抜こうとする。
「させるか!」
 ゼルギウスが筋肉を引き締めそれを阻む。
「ヴェイラ・・・お前を・・・孤独から救ってやる!!」
 ゼルギウスは剣を大きく振り上げた。
「くそっ!!」
 ヴェイラはやっとのことで剣を抜き、振り下ろされる剣を防ごうと構える。
 だが、
 カキーン!
 綺麗な金属音と共に砕けるニュクス。
「ニュクス!?」
 ゼルギウスの剣はそのままヴェイラの体を切り裂き、ボキっと鈍い音を立てて折れてしまった。
 ヴェイラの体が大きく後ろへ跳ぶ。
 闇夜の中にきらきらと輝くニュクスの欠片。
 ヴェイラは初めてニュクスと出会った日を思い出した・・・。

「すげー・・・。こんな綺麗な剣、初めてみるぜ・・。」
 柄に施された銀の装飾、はめ込まれた黒曜石、夜を結晶化したような刀身。
 この美しい剣に、ヴェイラは一目で恋に落ちた。
「僕もこんな綺麗な剣を作ったのは初めてだよ。
 もう二度とこんな剣は作れないだろうね。
 名前はどうする?」
 武器の作成を頼んだ商人が聞いた。
「ニュクス・・・ニュクス以外に考えられねぇ・・・。」
「ニュクス・・・。夜の女神か・・・。
 ぴったりの名前だね。」
「よろしくニュクス・・・。
 オレの恋人・・・。」
 そう言い、ヴェイラはニュクスにキスをした。
 その日から、ニュクスはヴェイラの半身となった。
 ニュクスと一緒なら、どんなに深い闇の中でも怖くなかった。
 ニュクスと共に生きていた。

(何だ・・・。オレ、一人じゃなかったじゃん・・・。)
 ニュクスは何も言わない。
 孤独で寂しくても、抱きしめてくれない。
 けどずっと側にいてくれた。
 自分を守ってくれた。
 ニュクスが抱きしめてくれないなら、自分が抱きしめればいい。
(ごめんな・・・ニュクス・・・。
 浮気しちまって・・・。)
 手にしたニュクスの柄をみる。
 その刀身は無残に砕けちっていたが、僅かに残った刀身は初めて出会った時と変わらず
美しい夜色をしていた。
(浮気、許してくれよ・・・。
 オレは・・・お前に首ったけなんだから・・・。)
 ヴェイラはニュクスにキスをした。
「ニュクス・・・オレの・・・こい・・びと・・・・。」

(終わったのか・・・?)
 先ほどの一撃は、普通に考えれば即死する一撃だ。
 しかし、その剣戟はあの黒い剣によって阻まれ、多少威力を落としていた。
 しかも剣が折れてしまっている。
 服の下に何か着込んでいたようだ。
 まともに一撃を喰らったとは思えない。
 だがヴェイラはぴくりとも動かない。
 ゼルギウスはヴェイラの生死を確認しようと近づいた。
 その時。

「グルォオオオオ!!」
「何だ!?」

 獣の咆哮が大気を揺らした。
「外で何か起こっているのか?」
 ゼルギウスは外へ行くことにした。
 ヴェイラが生きていたとしても、もうまともに動けないはずだ。
 放っておいて何の問題もない。
 今はそれ以上に大きな問題があった。
 武器がない。
(どうする!?何か・・・何か使えそうなものはないのか!!)
 ゼルギウスはあたりを見回した。
(なんでもいい!何か武器になるものを!!)
 そのとき、一つの彫像が目に止まった。
 それは勇者像のようで、大きな剣を地に刺し立っていた。
(あれは・・・もしかして!!)
 期待を込め勇者像に近づく。

「やはり・・・旋風の剣だ!!」

 きっと作成した彫刻家がリアリティを出す為に真剣を使ったのであろう。
 確かに、その勇者像は他のものとは違う空気をかもし出していた。
「芸術家の魂に感謝だな・・・。」
 そう言い、折れた剣の柄で彫像を破壊し、剣を取り出す。
 旋風の剣。
 衝撃波を発生させ、離れた相手にも攻撃できる剣だ。
「この手の剣の扱いなら慣れている・・・。」
 ゼルギウスはちらりとヴェイラの方を向き、一瞬目を閉じた。
 そして、咆哮のしたほうへと走り出した。

 ゼルギウスにとって、ヴェイラはもう一人の自分だった。
 セフェランやサナキと出会わなかった自分。
 一人は嫌だ。
 ヴェイラの気持ちが痛いほど分かった。
 ゼルギウスは昔を思い出していた。
 孤独の闇にいたころの自分を・・・。
 早くセフェランとサナキに会いたかった。
 この寂しさから救い出して欲しかった。

(セフェラン様・・・サナキ様・・・。
 お願いです・・・。ずっとお側にいさせて下さい・・・。
 この寂しさから・・・私を守って下さい・・・。)

 そう願い、ゼルギウスは走り続けた・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゼルギウス対ヴェイラ戦 あとがき

この戦いは、書いてて燃えました。
ゼルギウスもヴェイラも、これ以上ないぐらいカッコよく書けたと思っています。

ヴェイラは、当初印付き設定はありませんでした。
ですが、ゼルギウスと対等にやり合う為にはどうするか?と、考えた結果、印付きになってもらいました。
偶然とはいえ、性格も勝手きままな猫っぽい感じだったので、猫の印付きに。

二人は何処か、似ているようで似ていません。
二人とも、孤独を感じていました。
二人とも、この寂しさから逃れたいと思っていました。
ゼルギウスにはセフェランが来てくれたけど、ヴェイラには、誰も来てくれませんでした。

誰か一人でも、自分の側にいてくれる。
人が生きていくためには、他者が必要なんです・・・・・・。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
今回の話…すごく素敵でした。
ヴェイラは魅力的なキャラだと思いました。
猫の印付き、ですか…
たしかに、黒猫のイメージとかありますよね。
印付きのついては、わたしのブログのコメントレスのところにわたしなりの意見をちょっといろいろと書いてますが…
わたしは彼等の気持ちよくわかるかな…と思います。
人の痛みはそれぞれ違うので、わかると言い切るのも間違いですが。
機会があればこのへんのお話、セネリオかミカヤで書きたいです。
琴里
2008/01/15 23:32
琴里様
コメント、ありがとうございます。

>ヴェイラは魅力的なキャラだと思いました。
あ〜!そう言っていただけると、とっても嬉しいです!!
私も、数あるオリキャラの中で、ヴェイラが一番好きなので。
ヴェイラは、限りなくグレイなキャラです。『灰猫』という異名も持っているという設定です。(まだ出てきてなかったかな・・・。)
白でもなく黒でもなく。正義にもなれるし、悪にもなれる。
勝手きままな猫そのものをイメージして書いています。

「なんか、自分周りと違うなー。」とか、思う瞬間が、誰でもあると思います。
印付きは、そんな気持ちをいつも感じている人達なんですよね。
永遠に続く疎外感・・・・・。そんな中生きていかないといけない印付きの心
の闇は、限りなく深いでしょうね・・・・。

印付きのSS、書かれたら教えてください。是非読んでみてみたいです。
リリカル
2008/01/16 00:12

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