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今回で、ヴェイラの心の闇が明かされます・・・・・・。 『ゼルギウス将軍の一番長い日43 英雄群舞 第9幕 〜観客なき剣劇 中編〜』 3分。それがオレに残された時間。 どんなに祈っても時はとまらねぇ。 なら、その3分にオレの全てをそそぐ。 この綺麗な宝石を手に入れる。 こいつは誰にも渡さない・・・。 やっと出会えたオレの仲間・・・。 こいつはオレのもんだ・・・。 「あんたは、誰にもわたさねぇー!!」 そう叫び、ヴェイラはゼルギウスの肩に剣を突き出す。 (殺しはしない!動きを封じるんだ! そして、オレのものにするんだ・・・。) ゼルギウスはその剣を避け、ヴェイラへ向かい剣をふり降ろす。 「だー!!」 「当たるかよ!!」 ひらりとヴェイラもその剣をかわす。 「あんたは殺さない・・・。 誰にも渡さない・・・。 あんたをいたぶって・・・あんたを泣かして・・・。 ずっと・・・ずっとオレの手元に置いておくんだ・・・。 もう離れたくない・・・オレの側にいてくれよ・・・」 それは最早妄執に近かった。 「なぜそれほど私に執着する。」 ゼルギウスは不思議に思った。 軍生活の長いゼルギウスは、これまで何度か男に言い寄られたことがあった。 しかし、ヴェイラの言葉はそれとは違う気がする。 もっと深い、もっと寂しげなものを感じた。 その感情に、ゼルギウスは覚えがあった。 「オレは・・・他のやつらとは違っていた・・・。 それが何なのかはわからねぇ・・・。 いつも疎外感を感じていた・・・。 ずっと一人だと思っていた・・・。 オレと同じやつなんていないと思っていた・・・。 けど・・・けどな・・・! やっと会えたんだ!!オレと同じやつ!! 分かるんだ!あんたとオレは仲間なんだって!!」 (やはりヴェイラも印付きか・・・。) それは確信に変わった。 印付きは、何故か自分と同じ血を持つものの存在が分かる。 ヴェイラは自分が印付きだとは気づいていないだろう。 だがその血は確実に同族の血を感じ取っていた。 「嬉しいんだよ・・・。仲間ができて・・・。 オレと同じやつがいて・・・。 あんたは誰にも渡さない・・・。 誰かに渡すぐらいなら、殺したほうがマシだ・・・。 そうすれば、ずっとオレのものだ・・・。」 ヴェイラが今まで信じてきたものは、黒剣ニュクスだけであった。 ニュクスさえいれば他に何もいらなかった。 だが、ゼルギウスと会ってその考えは変わった。 この男ならオレを分かってくれる。 オレの寂しさを分かってくれる。 「頼む・・・。側にいてくれ・・・。 一人は・・・一人は・・・もう嫌なんだーーーーーー!!」 一人でいるのは寂しかった。 誰かの側に行っても、どこか違和感を感じずっと側にいれなかった。 相手もオレが自分とはどこか違うと感じると去って行った。 人は、誰かが側にいることで自分はここにいると感じることが出来る。 オレの側には誰もいない。 オレはちゃんと生きているんだろうか? 誰かを傷つけるとき、相手はオレを見る。 その目に涙を溜めながら、許してくれとオレにすがりつく。 その時だけだった。オレがここにいると感じられた時は。 だから人を傷つけた。 オレはちゃんと生きていると感じる為に・・・。 光の中に居たくない。 友と、家族と笑い合う者の姿を見てしまうから。 自分が一人だと分かってしまうから。 闇の中なら大丈夫。 周りは見えない。 自分が一人だと気づかない。 だけど、突然現れた黝い宝石はとっても綺麗に輝いて、居心地のよかった暗い闇の中に 光を作ってしまった。 その宝石はとっても眩しくて、オレは周りが見えてしまった。 宝石の為に泣いた女の子。 宝石を助ける為に戦った男の子。 オレの為に、そんなことしてくれるやつはいない・・・。 オレはやっぱり一人なんだ・・・。 けど、あんたはオレの仲間だろ。 オレの気持ちを分かってくれるだろ。 側にいてくれ・・・。 あんたの光の中にいさせてくれ・・・。 そうすれば、オレはもう一人じゃない・・・。 「もう嫌だ!! 一人は嫌なんだよ!!嫌なんだよ!!」 ヴェイラは、今まで抑えこんできたものが一気にあふれ出るのを感じていた。 ずっと隠していた孤独感。 無理に笑って、その孤独を隠してもっと孤独になる。 永遠に続くと思われた孤独の連鎖。 きっとこの男はそれを分かってくれる! 寂しさを分かち合ってくれる! 誰にも渡さない!渡さない!! 「お願いだ!もう一人にしないでくれ!!」 ヴェイラは涙を流しながら剣を振るった。 自分と孤独を分かち合う者を手に入れる為に・・・。 涙を流すヴェイラの姿。 それは、かつてのゼルギウスの姿でもあった。 ゼルギウスも、セフェランと出会うまで深い孤独感の中にいた。 セフェランと出会うことがなかったら、自分もきっとヴェイラのように闇に囚われていただろう・・・。 (これは・・・私の姿だ・・・。 セフェラン様に出会わなかった私の姿だ・・・。) ヴェイラの姿に自分の姿がたぶって見える。 この男の孤独を和らげてやりたかった。 孤独の辛さは誰よりも知っている。 だがそれは出来ない。 この男はあまりにも多くの罪を犯した。 裁きを下さなければならない。 (すまないヴェイラ・・・。私はお前と孤独を分かち合うことは出来ない・・・。 しかし、お前を孤独から解放することは出来る・・・。) ゼルギウス剣を握り直した。 ヴェイラを・・・もう一人の自分を孤独から救う為に・・・。 |
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